雷はきっと私を見つけられなかったの
「ピカピカッ」「グオーロラロロロッ」
雷だ。
暗い青い空が光った。
綺麗だな。
「いっそ、私に落ちればいいのにな。」
不思議だな。フラッシュをたいたような光なのに、フラッシュバックをしないなんて。
綺麗だな。
「家に着くまでには私に落ちてくるだろうか。」
まだ落ちない。条件が悪いんだな。
きっと見えない何かが、手を擦り合わせて摩擦を起こしてるんだ。
でも今日はおサボりさんだ。
私はここを歩いてるけど。まだ見つけてくれないの?
きっと、イヤフォンから流れる曲のせいだ。
「言葉にならない千の想いで、伝わるのなら、それだけでいいんだ。」
そんないかにも希望を抱いて生きたいと思いながら聴いてたら落ちないよね。
綺麗だな…。
結局落ちなかった。
あなたが間違い探しを得意としていて良かった。