人工呼吸。

あなたが上を向いてくれるから、私は下を向くだなんて口実なんだけどさ。

とてもじゃないけど、僕は上を向くことが出来ない。下を向いて歩くから、花を見つけるのが上手くなったよ。それを君に教えると、君はいつも「星が綺麗だ。」とカラリと泣くんだ。

あなたみたいな人が泣かないで欲しい。間違ってるんだよ。ねぇ。

僕は休み過ぎだ。わかってる。けど、怖いんだ。何もかもが。

僕がそう言うと君はいつも物語を話す。「ここから飛び立って、星々を避けて、あのオリオンに会いに行こう。きっと貝を吹いて歌ってる。ほら、あの双子座も銀の笛で綺麗に歌ってる。耳をすませて、目を澄ませて?あの北斗七星を見て、いつも平等に皆の頭上で輝いている。だけど、それに気づくのはごく少数の人だ。」そう言うと君はまた泣いた。

「ほらね、上を向けただろう?君はとても強い人なんだ。大丈夫。」

けど、僕は君が泣いてる意味が分からないよ。だけど、君が泣くべきじゃないというのだけはわかるんだ。

息がしずらくて、息をするのを忘れる時があると言うと君は僕に息を吹き込んでくれる。とても悲しい息を…。

でも、また前を向けそうな、歩けそうな気がするよ。

あなただけだよな。いつも隣にいてくれるのは。